FcRn阻害剤アイマービー、全身型重症筋無力症(gMG)の適応で承認を取得
Johnson&Johnson(ヤンセンファーマ株式会社)は9月19日、ヒトFcRn阻害モノクローナル抗体「アイマービー点滴静注1200mg」、「同300mg」(一般名:ニポカリマブ(遺伝子組換え)、以下「アイマービー」)について、「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能又は効果として、製造販売承認を取得したと発表しました。
全身型重症筋無力症(gMG)は、慢性の自己抗体疾患であり、持続的な疾患コントロールをもたらし、かつ安全性プロファイルが確認された新しい治療選択肢に対するアンメットニーズの高い疾患です。日本国内には約23,000人の全身型重症筋無力症(gMG)患者さんがいると推定されています。
アイマービーは、成人および12歳以上の小児という幅広い患者さんを対象とする、初めてのFcRn阻害剤。同剤は、全身型重症筋無力症(gMG)の発症原因のひとつである有害な免疫グロブリンG(IgG)抗体を減少させるよう設計されており、他の適応免疫機能および自然免疫機能に対し影響は及ぼさないことが特長です。
今回の承認は、国際共同第III相Vivacity-MG3試験と第II/III相Vibrance-MG試験の結果に基づいたものです。成人全身型重症筋無力症(gMG)患者さんを対象としたVivacity-MG3試験では、アイマービーと標準治療の併用群が、プラセボと標準治療の併用群と比較し、24週間の二重盲検期間において日常生活動作(MG-ADL)総スコアの有意な改善が認められました。これは、咀嚼、嚥下、発話および呼吸などの基本的な機能が改善したことを意味しています。また、現在進行中の非盲検継続試験において、アイマービーで治療を受けた患者さんは、72週間にわたる持続的な症状コントロールおよび症状緩和を示しています。アイマービーは、初回投与から24週間のモニタリング期間を通して、IgG抗体濃度を迅速かつ持続的に最大75%低下させました。
また、抗AchRおよび抗MuSK抗体陽性の12〜17歳の患者さんを対象とした第II/III相Vibrance-MG試験では、アイマービー+標準治療群は、主要評価項目(24週間で血清中総IgGが69%減少)および副次評価項目(MG-ADLおよびQMGcスケールの改善)を達成したことが示されました。アイマービーは、第III相Vivacity-MG3試験および第II/III相Vibrance-MG試験において、一貫した安全性プロファイルを示しており、成人および12歳以上の患者さんにおいて、同程度の忍容性が示されています。
今回の承認取得により、アイマービーは、全身型重症筋無力症(gMG)患者さんにおける持続的な症状コントロールが期待できる新たな治療選択肢となります。アイマービーは、日本国内において希少疾病用医薬品の指定を受けています。また、2025年4月に全身型重症筋無力症(gMG)治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しています。
国際医療福祉大学医学部脳神経内科学教授の村井弘之先生はプレスリリースにて、「アイマービーによる臨床試験は、全身型重症筋無力症の治療において重要なマイルストーンを達成しました。Vivacity-MG3試験においては、症状緩和と持続的な疾患コントロールが認められました。これは日常機能の改善につながり、24週間にわたりその効果が持続していました。このような持続的な症状の安定をもたらすことが期待できる治療薬が登場したことは、全身型重症筋無力症のように複雑で予測不能な疾患をマネジメントする上で、意義ある一歩です。またAChR、MuSKおよびLRP4陽性およ及び陰性の成人患者さんおよび12歳以上の小児患者さんという、より幅広い範囲の患者さんに新たなFcRn阻害剤を提供することになります」と述べています。
またJ&J Innovative Medicine Japanのクリス・リーガー代表取締役社長は、「今回の承認取得は、全身型重症筋無力症とともに生きる約23,000人の日本の患者さんにとって、重要なマイルストーンとなります。そして、また今回の承認取得は、アイマービーの研究開発における長年のコミットメント、コラボレーションと強い意志を持ち続けたことによる成果と言えます。私たちはこの新たな治療選択肢を、多くの全身型重症筋無力症の患者さんにお届けできることを誇りに思います」と述べています。