中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する新たな経口治療薬ベルスピティ錠 2mgが発売
ファイザー株式会社は9月12日、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する新たな経口治療薬として、「ベルスピティ錠 2mg(一般名:エトラシモドL-アルギニン)」の販売を開始したと発表しました。
潰瘍性大腸炎(指定難病97)は、大腸の粘膜にびまん性かつ連続性の炎症性病変が生じ、寛解と再燃を繰り返す慢性の炎症性腸疾患です。主な症状としては、粘血便、下痢、腹部不快感、腹痛などがあり、倦怠感や貧血が見られることもあります。近年、潰瘍性大腸炎の治療法は多様化していますが、既存の治療では十分な効果が得られなかったり、治療を受けても症状が再燃したりすることに悩む患者さんが多く、いまだに満たされていない医療ニーズが存在しています。厚生労働省の研究班によると、患者さんの半数が再燃寛解型の臨床経過を示すと報告されており、海外の研究では先進医療を開始した患者さんの約4割が、治療開始後12ヵ月以内に生物学的製剤やJAK阻害薬に対して効果が不十分であったことも示されています。
ベルスピティは、S1P受容体サブタイプ1、4、5に対して選択的に活性を示すよう設計されたS1P受容体調節薬であり、潰瘍性大腸炎を含む炎症性疾患に対する1日1回の経口投与製剤です。同剤の承認は、中等症から重症の活動期にある潰瘍性大腸炎患者さんを対象とした国際共同第3相試験(ELEVATE UC 52試験、ELEVATE UC 12試験)および国内第3相試験(ELEVATE UC 40 Japan試験)の結果に基づいたものです。これらの臨床試験では、同剤の有効性および良好な安全性が確認されており、健康関連QOL(Quality of Life)の改善も示されました。同剤は2024年6月に日本で承認申請され、2025年6月24日に製造販売承認を取得しています。

ファイザーの取締役執行役員スペシャルティケア部門長の宮原京子氏は今回の発売について、「本日、ベルスピティを発売できたことを嬉しく思います。中等症から重症の潰瘍性大腸炎に悩む患者さんの新たな治療選択肢として、本剤が、“患者さんの生活を大きく変えるブレークスルー”になることを願っております。当社はこれまでも、潰瘍性大腸炎の領域でゼルヤンツ®をお役立ていただいております。ベルスピティを通じて、さらにこの領域でより広く患者さんと医療従事者の皆様に貢献するため、透明性の高い情報提供により、適正使用を推進してまいります」と述べています。