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アムヴトラ、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)を対象とした治療薬として一変承認を取得

Alnylam Japan株式会社は6月24日、「アムヴトラ(一般名:ブトリシランナトリウム、以下アムヴトラ)」についてトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)を対象とした治療薬として医薬品製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表しました。

トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)は、肝臓で産生されるトランスサイレチン(TTR)がアミロイドとなって心筋に沈着・蓄積することで発症する進行性の疾患です。

アムヴトラは、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)の原因タンパク質であるTTRの産生を抑制することで疾患にアプローチする治療薬です。同剤は、3カ月に1回皮下注射します。

この適応追加は、第Ⅲ相HELIOS-B試験の結果に基づいて、2024年11月に申請されました。同試験は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM、変異型及び野生型)と診断された成人患者さん655名を対象とした、第ⅢIII相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際共同試験です。この試験では、全死因死亡及び再発性心血管関連イベントの主要複合評価項目の減少というアムヴトラの有効性及び安全性が評価されました。

同試験において、アムヴトラは主要評価項目及びすべての副次評価項目を達成しました。アムヴトラ投与群はプラセボ投与群に比べて死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを統計学的に有意に減少させました。全体集団において、アムヴトラは全死因死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを28%減少させ、主要評価項目の構成要素である全死因死亡のリスクと再発性心血管関連イベントにおいて同様の減少を示しました。この集団における全死因死亡のリスクは、二重盲検期間中に31%、42ヵ月までに36%と有意に減少しました。単剤投与部分集団において、アムヴトラは全死因死亡及び再発性心血管関連イベントのリスクを33%有意に減少させ、42ヵ月までの死亡リスクを35%有意に減少させました。アムヴトラ投与群は、6分間歩行試験、カンザスシティ心筋症質問票、NYHA分類、心臓バイオマーカーNT-proBNPなど、複数の確立された疾患進行の臨床的指標においても、プラセボ投与群と比較して効果を示しました。

アムヴトラは、許容可能な安全性及び忍容性プロファイルを示しました。有害事象、重篤な有害事象、重度な有害事象、及び治験薬の投与中止に至った有害事象の発現頻度は、アムヴトラ投与群とプラセボ投与群で同程度でした。プラセボ投与群と比較すると、アムヴトラ投与群では心臓関連の有害事象の発現頻度が同程度、またはそれより低い数値でした。全患者さんの15%以上に発生した有害事象(心不全、COVID-19、心房細動、痛風、呼吸困難、転倒)の発現頻度は、プラセボ投与群と比較するとアムヴトラ投与群では同程度、または低い数値でした。プラセボ投与群と比較して、アムヴトラ投与群で3%以上発現頻度の高い有害事象は認められませんでした。

アルナイラム社の岡田裕代表取締役社長はプレスリリースにて、「ATTR-CMは、肝臓で産生されるトランスサイレチン(TTR)がアミロイドとなり、心筋に沈着・蓄積することで発症する進行性の疾患です。心不全を引き起こす原因疾患としての認識が広まりつつあり、早期診断や有効な治療介入が求められる中で、依然として多くのアンメットメディカルニーズが存在しています。アムヴトラは、ATTR-CMの原因タンパク質であるTTRの産生を抑制することで、疾患の根本にアプローチする治療薬です。アムヴトラをATTR-CM患者さんにお届けし、治療に貢献できることを期待しています」と述べています。

高知大学医学部老年病・循環器内科学の北岡裕章教授は、「ATTR-CMは肝臓で産生されるTTRが加齢や遺伝子変異によりアミロイド化し心臓に沈着することが原因で発症する疾患です。近年では早期診断が進んできているものの、未診断の症例が多く存在し、本邦の人口高齢化を踏まえると今後さらに罹患患者が増加することも想定されます。アムヴトラはTTRmRNAを分解することでTTRの産生を抑制するRNAi治療薬です。第Ⅲ相臨床試験であるHELIOS-B試験では4量体安定化薬がベースラインで40%投与されていた患者背景で実施され、事前に規定された主要評価項目、副次評価項目すべて(10項目中10項目)を達成しました。アムヴトラがATTR-CM治療の新たな治療選択肢として、ATTR-CM治療に変革をもたらすことを期待しています」と述べています。

なお、HELIOS-B試験の結果は2024年8月の欧州心臓病学会で発表され、同時に「The New England Journal of Medicine」誌にも掲載されました。

出典
Alnylam Japan株式会社 プレスリリース

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