バビースモ、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に対する適応拡大の承認を取得
中外製薬株式会社は5月19日、抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ硝子体内注射液120mg/mL[一般名:ファリシマブ(遺伝子組換え)](以下、バビースモ)」について、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に対する適応拡大の承認を厚生労働省より取得したと発表しました。
脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条は、網膜の一部の断裂と、それに伴い眼底に特徴的な線状の色調変化(色素線条)がみられる疾患です。この疾患において眼底の中央の黄斑部に脈絡膜新生血管が及ぶと、視力低下やゆがみなどの症状が出現します。新生血管を伴う場合は予後不良であることが知られており、従来の手術やレーザー治療などでは十分な効果を得ることが難しい状況でした。そのため、新たな治療薬が求められていました。日本国内における網膜色素線条の正確な患者数は明らかになっていませんが、この疾患を約半数で合併するとされる弾性線維性仮性黄色腫(指定難病166)の国内患者数は約300名と報告されています。
バビースモは、眼科領域において承認された初のバイスペシフィック抗体です。その作用機序は、アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、血管の不安定化や新たな漏出を伴う血管の形成、炎症を引き起こし視力低下の原因となる2つの経路を標的とし、阻害するものです。用法及び用量については、ファリシマブ(遺伝子組換え)として1回あたり6.0mg(0.05mL)を硝子体内投与し、投与間隔は4週以上あけることとされています。
今回の承認申請は、網膜色素線条を対象とした国内第III相臨床試験であるNIHONBASHI試験の成績に基づいたものです。
中外製薬の代表取締役社長CEOの奥田修氏はプレスリリースにて、「今回の承認により、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に対して日本で初めての治療薬となるバビースモを患者さんにお届けできることを大変嬉しく思います。視力障害の原因となる本疾患は予後不良であることが知られており、バビースモによる治療を通じて、患者さんの視力維持・改善に貢献できることを期待しています。引き続き迅速な適正使用情報の提供に努めてまいります」と述べています。