SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬クアルソディ髄注100mg、薬価収載と同時に販売
バイオジェン・ジャパン株式会社は3月13日、「クアルソディ髄注100mg(一般名:トフェルセン)」について、「SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症における機能障害の進行抑制」の適応症で薬価収載と同時に日本でも販売を開始したと発表しました。
筋萎縮性側索硬化症(指定難病2、ALS)は、手足・のど・舌などの呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力がなくなっていく疾患です。SOD1遺伝子変異を有する患者さんは、全世界の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推計罹患者数16万8,000人の約2%と言われています。有害なSOD1タンパク質により運動ニューロンの変性を発現させ、進行性の筋力の低下、機能の喪失、そして最終的には死亡に至る可能性もあります。
クアルソディは、運動ニューロン疾患(MND)としても知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対し、遺伝的原因を標的とする治療薬として日本で初めて承認された医薬品です。

同剤の承認は、SOD1-ALS患者さんを対象とした無作為化プラセボ対照第III相試験(VALOR試験)及び非盲検長期継続投与試験の結果に基づくものです。VALOR試験の主要評価項目は、疾患進行が急速な被験者群における投与28週時点のALSFRS-R合計スコアのベースラインからの変化量でした。同剤投与群でプラセボ投与群と比較してALSFRS-Rの低下は小さい傾向にありましたが、統計学的に有意な差は示しませんでした。しかし、非盲検長期継続投与試験との併合解析の結果、いずれの評価時点及び解析対象集団においても同剤群では対照群と比較して、ALSFRS-R合計スコアのベースラインからの変化量が小さい傾向にありました。また、死亡や永久人工呼吸器装着の発現割合が同剤群で低い傾向が示されました。以上の結果に基づき、希少な進行性疾患であり、治療選択肢が非常に限られているSOD1-ALSに対して、同剤の有効性が期待されると判断されたとしています。
クアルソディの投与を受けた患者さんの中で報告がされた副作用は、脊髄炎(3.4%)、神経根炎(2.7%)、視神経乳頭浮腫(4.8%)、無菌性髄膜炎(4.1%)、頭痛(13.6%)、髄液細胞増加症(8.2%)、錯感覚(6.1%)、CSF蛋白増加(22.4%)、CSF白血球数増加(14.3%)、四肢痛(17.7%)、筋肉痛(10.2%)、疲労(5.4%)、処置による疼痛(6.8%)でした。
バイオジェン・ジャパンの傳幸諭社長はプレスリリースにて、「2024年12月27日に承認されたクアルソディの薬価が3月12日の中医協(中央社会保険医療協議会)において了承されました。治療薬を待っておられるSOD1-ALS患者さんに、少しでも早く提供させていただきたく、薬価収載と同時に販売を開始いたします。ALSに苦しむ人々の生活と人生を変えるという当社のミッションの一環として、私たちはクアルソディの恩恵を享受すべき人々が確実に、かつ速やかにこの治療薬にアクセスできるよう、遺伝子検査の浸透も含めて、治療体制を整えるべく努力してまいります」と述べています。