レボレード、慢性特発性血小板減少性紫斑病の小児患者に対する用法及び用量の追加承認を取得
ノバルティス ファーマ株式会社は11月22日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード錠12.5mg、同25mg(一般名:エルトロンボパグ オラミン、以下「レボレード」)」について、公知申請を行っていた「慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」の小児患者(1歳以上)に対する用法及び用量の追加承認を取得したと発表しました。
特発性血小板減少性紫斑病(指定難病63、ITP)は、血小板減少をきたす他の明らかな病気や薬剤の使用歴がなく血小板数が減少することで、血液が正常に凝固できなくなり出血が起こりやすくなる後天性の自己免疫疾患です。小児の患者さんでは多くが自然寛解しますが、血小板数減少により重症化した場合には、脳出血等の重篤かつ致死的な出血症状が出現することもあるため、一定以上の血小板数を維持する必要があります。
レボレードは、経口投与のトロンボポエチン受容体作動薬です。トロンボポエチン受容体は造血幹細胞や骨髄前駆細胞等の膜表面に発現する膜貫通型受容体で、トロンボポエチンとの結合により活性化され、核内にシグナルを伝達することで、造血幹細胞や骨髄前駆細胞の増殖や分化を誘導すると考えられています。
同剤は、トロンボポエチン受容体に直接結合するのではなく、受容体膜貫通領域と特異的に相互作用をすることで、トロンボポエチンの主要な細胞内シグナル伝達経路の一部であるJAK-STAT経路とRas-MAPK経路を活性化し、血球の増加を促進する薬剤です。これまで、国内では成人患者さんにのみ使用できる状況でありましたが、国内の診療ガイドラインでは、副腎皮質ステロイド等の治療の効果が不十分な小児患者さんや、長期投与による副作用を懸念される小児患者さんに対する二次治療として、レボレードの使用が推奨されています。
同剤については、日本小児血液・がん学会から要望書が提出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討により、医学薬学上公知であると判断。薬事審議会医薬品第一部会において事前評価が行われ、公知申請を行うことは可能と判断されたことから、2024年5月に、レボレードの小児患者(1歳以上)に対する用法及び用量の追加の公知申請を行いました。今回の日本における用法及び用量の追加承認は、国内外のガイドライン等2,3の記載内容や、国内の使用実績、公表文献等に基づいたものです。
ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノ氏は今回の承認について、「これまで日常生活に重大な影響があった小児のITP患者さんおよびそのご家族に、新たな治療をご提供できることをうれしく思います。今回の追加承認によって、現在承認されている再生不良性貧血と ITPの両疾患において小児での使用が可能となり、レボレードがより多くの患者さんの生活に貢献できると確信しています」と述べています。