血友病A治療薬オルツビーオの有効性、安全性と薬物動態がNEJM誌に掲載
仏サノフィ社は7月17日、海外第III相試験XTEND-Kidsの詳細な結果がニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(NEJM)に掲載され、「オルツビーオ(一般名:エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)」の有効性、安全性と薬物動態が示されたと発表しました。
オルツビーオは、血友病Aの成人および小児患者さんにおいて週1回の定期補充療法、出血時投与や、周術期管理に用いる医薬品として承認されている高活性維持型血液凝固第VIII因子製剤です。
血友病 Aは、血液が凝固する機能が損なわれることで、出血が止まりにくくなる疾患です。関節の損傷や慢性の痛みが現れることがあり、生活の質(QOL)が損なわれる可能性があります。
今回、NEJMに掲載されたXTEND-Kids試験では、オルツビーオは、主要評価項目である第VIII因子インヒビターの発現した症例はありませんでした(0%[95%信頼区間(CI)]0-5)。副次評価項目の年間出血率(ABR)では、オルツビーオの投与により、試験計画に従って治療を受けた患者さん73名における年間出血率(ABR)の中央値は0.00(四分位範囲[IQR]:0.00-1.02)、ABRの推定平均値(95%CI)は0.61(0.42–0.90)でした。小児患者さんは、成人の患者さんに比べて、は凝固因子濃縮製剤の血液からの消失速度が高く、半減期標準型(SHL)や半減期延長型(EHL)の製剤では、多くの場合、週に2~4回の投与が必要となります。
血友病Aの症状として、関節の損傷や慢性の痛みがありますが、関節を健康に保つには、あらゆる関節内出血を抑制することが重要です。オルツビーオの毎週投与を受けた小児患者さんの82%では関節内出血の発生回数が0回で、同剤の週1回の定期補充療法で関節の健康状態が長期間にわたり守られる可能性が示唆されました。
小児患者さんにおけるオルツビーオの忍容性は良好で、有害事象により投与中止に至った患者さんはいませんでした。高頻度(>10%)で現れた有害事象は、SARS-CoV-2検査陽性、上気道感染と発熱でした。重篤なアレルギー反応、アナフィラキシーや、塞栓性または血栓性の有害事象の報告はありませんでした。
サノフィ グローバル開発ヘッドおよび最高医学責任者のディートマー・ベルガー氏はプレスリリースにて、「XTEND-Kids試験のデータは、凝固因子活性を長期間にわたり高く維持することと、関節の健康状態などの健康状況の改善に関連があることを確認するものとなりました。血友病の小児患者さんの出血抑制効果が強化できる治療選択肢をお届けすることで、日常活動に参加するお子さんを見守るご家族の安心感が高まります。今回の結果は、オルツビーオ®をはじめとする血友病治療薬の幅広いポートフォリオを通じて、血友病と共に生きる子どもたちの標準治療の再定義を目指し活動する私たちの専門性と取り組みの証といえます」と述べています。