自己免疫性肺胞蛋白症に対する初の治療薬サルグマリン吸入剤、製造販売承認を取得
ノーベルファーマ株式会社は3月26日、自己免疫性肺胞蛋白症治療剤「サルグマリン吸入用250μg」が製造販売承認を取得したと発表しました。
自己免疫性肺胞蛋白症は、抗顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)自己抗体の過剰産生が原因で、肺胞にサーファクタントを含む老廃物が溜まり、徐々に呼吸不全が進行していく指定難病です。日本における患者数は約730~770名と推計されています。これまで、自己免疫性肺胞蛋白症に対する治療薬は国内外ともになく、治療効果が確立された治療法は、全身麻酔下で肺に生理食塩液を注入して蓄積した老廃物を洗い流す区域肺洗浄又は全肺洗浄のみでした。全肺洗浄は術後に速やかな症状改善が期待できますが、入院を必要とする侵襲性が高い治療法であること、また、熟練の専門医がいる医療機関に治療機会が制限されることが臨床上の課題とされています。
サルグマリンは、骨髄系前駆細胞の増殖および分化の促進作用を有するサイトカインの一種であるGM-CSFを酵母により産生させた「サルグラモスチム(遺伝子組換え)」を主成分とする吸入剤です。吸入により肺胞マクロファージに直接作用してその成熟を促し、成熟マクロファージによる肺サーファクタントを含む老廃物の分解を促進することで、肺機能を改善します。
米国では、好中球、好酸球及び単球を増加させ、それらの機能を活性化することから、1991年より急性骨髄性白血病における寛解導入化学療法後の好中球回復や末梢血幹細胞移植後の骨髄系細胞回復を適応とする注射剤として販売されていますが、自己免疫性肺胞蛋白症を適応とする吸入剤としては承認されていませんでした。
ノーベルファーマ株式会社は、サルグマリンの吸入療法について「区域肺洗浄又は全肺洗浄に比べて侵襲性が低く、既存治療に加えて臨床現場に新たな治療選択肢を提供できるものと確信しております」と述べています。