新薬候補の薬効評価、iPSを用いた技術を確立し筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する創薬へ
愛知医科大学と東レ株式会社は5月29日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新薬創出を目指した共同研究を実施し、このたび、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新薬候補物質の薬効を評価する基本技術を確立したと発表しました。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、四肢、顔、呼吸筋など全身の筋力低下と筋萎縮が進行し、しゃべりにくさや、嚥下障害などの症状が現れる原因不明の疾患です。現在、日本国内には約1万人の患者さんがいると考えられています。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの病気の進行パターンには個人差があり、多様な病態に対応した実験モデルの作製が困難であることが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の創薬における課題でした。
今回の研究では、病気の進行パターン別に4つのグループに分け、30名の患者さんを対象に、iPS細胞由来運動神経細胞を効率良く作製し、新薬候補物質の薬効を評価する基本技術を確立しました。この技術により、新薬候補物質がどの病態パターンの患者さんに有効性を示すかを評価・予測することができると考えられ、特定の患者グループに対して有効性を示す新規治療薬の開発につながることが期待できます。
愛知医科大学と東レ株式会社はプレスリリースにて「一日でも早く有用なALS治療薬を患者さんとそのご家族、関係者の皆様のもとに届けるため、本技術のさらなる高度化とこれを活用した創薬研究を進めるとともに、神経疾患に取り組む製薬関連企業の皆様とのパートナーシップあるいはオープンイノベーションを推進し、新薬創出に貢献してまいります」と述べています。
なお、今回の研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進事業「産学官共同創薬技術活用プロジェクト(GAPFREE)」下で実施されました。