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全身性エリテマトーデス(SLE)

タグ:全身性エリテマトーデス
2017年12月07日 18時
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全身性エリテマトーデス(SLE)

概要

全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)とは、全身の様々な臓器に炎症が生じる自己免疫性疾患のひとつです。
自己免疫性疾患とは、本来細菌や、ウイルスなど自分とは異なるものを排除するために備わっている免疫機能が自身の細胞を攻撃してしまう病態です。全身性エリテマトーデスの場合は抗核抗体という自分自身の細胞内に存在する核の成分と結合する抗体が、全身の至る所に沈着し、病気が引き起こされると考えられています。
Systemicは「全身の」、Lupus Erythematosusは「狼に噛まれたような赤い発疹」という意味で、特徴的にみられる症状として、頬にできる赤い発疹があります。蝶が羽を広げているように見えることから「蝶型紅斑(ちょうけいこうはん)」と呼ばれています。 その他にも、発熱、全身倦怠感などの炎症性症状と、関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経など臓器の様々な個所に症状がみられます。

疫学

日本では指定難病に指定されており、平成26年度で難病助成申請者数は63,622名となっており、有病率は30~50/10万人と推定されています。
申請をしていない方、医療機関を受診していない潜在患者数も考慮すると実際はその2倍の患者数がいるのではないかと考えられています。
男女比は1:9で女性に多く、発症ピークは妊娠年齢の20~40歳代にありますが、小児から高齢者まで見られます。

原因

全身性エリテマトーデスが引き起こされる原因は今のところを解明されていません。遺伝子が同じであると考えられている一卵性双生児でこの病気が起こる頻度は25~60%とされており、遺伝子が同じでも必ずしも同じ病気になるわけではないことから、遺伝性の疾患ではなく、何らかの環境因子や偶然の要素も含まると考えられています。

病気が発症したり、病状が悪化したりなどのきっかけとなる誘因因子がいくつか知られています。(紫外線、風邪などのウイルス感染、けが、外科手術、妊娠・出産、など)

主な症状

①全身症状発熱、全身倦怠感、疲労感
②皮膚・粘膜鼻から頬にかけてみられる蝶型紅斑が特徴的です。その他、発疹が重なり合い少し盛り上がった皮疹、皮膚が薄くなった薄紅色の皮疹、顔・首・胸部・ひじなどを中心に丸く色素が抜けたようになるディスク上の皮疹(ディスコイド疹)などもみられます。
その他、強い紫外線をあびた後で、皮膚に赤い発疹、水膨れなどが起こる日光過敏症や、口内炎、脱毛などの症状もみられます。
④腎臓の症状腎障害では初期段階で尿蛋白がみられます。また、尿中に赤血球、白血球、円柱などの成分が多数みられるのも特徴です。全身性エリテマトーデスでは約40~75%以上の患者さんに腎病変がみとめられ、そのうち20~25%が難治性で、10~15%が腎不全に移行するとされています。このような予後の相違にはループス腎炎の病型が相関していることが知られています。ループス腎炎の約7割は全身性エリテマトーデス発症初期から存在していると推定されており、進行すると透析が必要となり命に係わる可能性もある難治性の病態です。
⑤中枢神経の症状中枢神経ループスは、ループス腎炎とともに全身性エリテマトーデスの難治性病態のひとつとされている病態です。軽症のものを含めると全身性エリテマトーデス患者の25~60%に及ぶとされており、中枢神経ループスの約4割は全身性エリテマトーデス発症前、あるいは診断時にみられるといわれています。
様々な精神神経症状がみられますが、うつ状態、妄想、時間や方向感覚が失われる失見当識などの精神症状と、てんかん発作、痙攣、脳血管障害が多くみられます。
⑥心肺の症状心膜や胸膜の炎症による胸痛は約2割の方にみられます。その他、肺に炎症が起こるループス肺炎や、致死的な肺の出血(肺胞出血)、肺高血圧症などの難治性の病態を合併する場合もあります。

その他にも、食欲不振や消化器の炎症、貧血などの症状もみられます。

検査

全身性エリテマトーデスでは、血液検査で抗核抗体が陽性となり、抗DNA抗体、抗RNP抗体、抗Sm抗体など様々な自己抗体の値が上昇します。しかし、時期によって低値を示したり、他疾患でも自己抗体が上昇する場合もあることから自己抗体検査のみで診断は行われません。
現在の日本で診断時に標準的に使われているのはアメリカリウマチ学会(ACR)が提唱しているSLE分類基準です。2013年に新たにSLICC分類基準が提唱されましたが、こちらはまだ参考として使用されています。

治療法

治療の中心は、免疫の働きを抑え、炎症を鎮めることです。

①副腎皮質ステロイド現在は第一選択薬として副腎皮質ステロイド薬が使用されています。病気の重症度によって治療で使用する用量は異なります。一般的に、重症の方では1日60~80㎎、中等~軽症の方では1日20~40㎎から開始されます。
ステロイドによって症状が軽快し多場合には、減量を開始します。急激な減量は再燃(炎症状態が再発した状態)の危険性があるため慎重なコントロールが必要となります。
副腎皮質ステロイド薬が使用されていなかった1950年代には発症して5年以上生存する人は50%程度とされていましたが、今では95%以上にまで改善しています。

②免疫抑制薬副腎皮質ステロイドでの効果が不十分だった場合や、副作用が強い場合には、免疫抑制薬を使用します。
アザチオプリン(商品名イムラン、アザニンなど)、シクロフォスファミド(エンドキサンなど)、タクロリムス(プログラフ)、サイクロスポリンA(ネオーラル)、ミゾリビン(ブレジニン)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)、ヒドロキシクロロキン(プラケニル)などです。

免疫機能を抑える薬であるため、免疫機能が低下し、細菌やウイルスなど感染症にかかりやすくなります。

③生物学的製剤2017年9月27日に、全身性エリテマトーデスで初めての生物製剤が承認されました。既存治療では効果不十分な方が適応となります。
ベリムマブ(商品名ベンリスタ)


関連項目

主な合併症

ループス腎炎



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